大陸続きの国では、人の往来だけではなく、モノの行き来も簡単です。
日本の場合、物理的に「海を渡ると外国」なのですが、フランスの場合、「海を渡らずとも外国に行ける」のです。陸続きなんで。
ドイツとフランスの国境近くに住んでいる人は、独仏二か国語を話したり、子どもをどっちの国の学校に行かせようか、という選択肢もあるようです。
上の地図でわかるように、フランスは、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルク、スイス、イタリア、スペインと、6つの国と国境を持っています。経済的、文化的な影響を大きく受けていることはいうまでもありません。
飛行機、電車移動の場合は一応パスポートコントロールがありますが、自家用車で移動する場合、基本、コントロールはありません(一部、検問がある場合を除いて)
さて、日本では、日本語以外の商品パッケージを見ることはほぼ皆無。おしゃれなスーパーやコストコでは、アメリカの商品やイタリアの商品を、わざと外国語パッケージを「ウリ」にして販売しているところはあるものの、基本、日本語表示のものがほとんど。
一方フランスでは、基本、二か国語以上の表記がデフォルトです。消費者もそれに慣れていて、特にデメリットとは考えていません。自分が読める文字があればそれを読むし、読めなかったら読めなかったで、何となくわかる言語で意味を推測しようとします。特に、イタリア語、スペイン語はフランス語と語源が近いので、すぐにわかるそう。
ここ最近、うちで買った商品のパッケージも、たとえば…
子どものクッキー(フランス語とポルトガル語)
どちらも同じ大きさで表示されているので、フランス人が見てもポルトガル人が見てもパッと見てわかります。また、ポルトガル語とスペイン語が近いので、おそらくスペイン人にもメッセージが伝わるでしょう。
歯磨き粉
これにいたっては、パッケージ4面のうち、一面が言葉での説明。左側がフランス語、右側はオランダ語。歯のイラストがあるので、そういう系の、いわゆる効果を説明してる、っていうのはわかる。
左右で同じ情報を書いてたり、上下で分けてたり。
日本で手に入る、H&M やZARAの製品には、これでもか!というくらいベロベロと品質表示タグが付いてますが、洋服以外の、食品や衛生用品に多言語表示されているのは、フランスならでは、という印象です。
フランスのこのシステム、私はとてもいいと思っていて。
というのも、ある国(場所)で売り上げが良くなければ、そのまま別の国(場所)に持って行ってすぐに売ることができる。品質表示はEUで統一されているので問題なし。
パッケージもすでに多言語表記なので、手をかけなくてもすぐにお店に並べることができる。
これって、すごく便利で効率的。
追加でマーケティング費用をかけなくても、シンプルな(欧州大陸共通の)デザインにすれば、フランス、イタリア、ドイツ、スイス、どこでも使いまわせるわけだし、パッケージ自体もわざわざ販売管理費をかけて翻訳してシール貼り直して、、、という手間がかからない。
なんで日本にはこのシステムがないのか、私なりに考えてみました。
- 日本ではない国から海を越えて「日本向け」の商品が押し寄せてくる。で、日本で消費(購入)されるので、100%「日本仕様」という規格で問題なし。
- 日本と近隣国の嗜好が違いすぎて、そもそも消費(購入)するものが全く異なる
- 日本人は、日本語、あるいは英語以外の外国語表記があると、怪しんで手を出さない→結果売れない。なので、各メーカーは基本日本語のみ対応することにしている。
- ここを効率化したら、仕事がなくなって困る人がいる(日本はいま労働人口不足と聞きますので、これはあんまりなさそう)
一方、欧州大陸(少なくともフランス)では、なぜ受け入れられているのか、についての予測は…
- 共通のアルファベットを使っている(一部accentなどの表記はあるとしても)ので、近隣国との言葉の壁がそれほど高くない
- 完全フランス語表記じゃないと困る人がそれほどいない。「made in France」を好む人が少ない(競争力がないと思い、割高な印象を与えるため)
- 特に何も考えていない。もしくは気づいていない。
というところで、まあ、ざっくり言うと、フランス語表記じゃなくても気にせず買う人が大多数だと思われます。
この、パッケージの多言語化。
効率を求めて、日本でもどんどん導入されると予想しますが、その場合、何語と何語が加わるのでしょうか。やっぱり、地理的に近い韓国語、中国語?いえいえ、英語かも?(そしたら韓国、中国だけじゃなくシンガポールやら豪州まで対応できるし)
色々と想像は尽きません。
では、今日はこれまで。また、新たな仮説が見つかったら、この記事も更新したいと思います!
追伸)
そういえば、そういえば、ダイソーは基本、日本語と英語表記!里帰りの時に買いだめした子どものシールブックやら、便利な台所用品やらのパッケージも、日本語の横に、小さく、でもちゃんと英語で書かれてます。私が知らないだけで、プライベートブランドあたりで、すでにこの風潮が始まってそうですね。
*1:注1フランスで納税してる人はフランスを、ドイツで納税している人はドイツを生活の拠点とすること(拠点とする=年間半分以上の日を納税している国で滞在すること)が定められているようですが、ジュネーブ近くの幹線道路で抜き打ち検査をしたら、「(本当はフランスに住んでるのに)今日だけ特別に友達の家に泊まっていた」「(本当はスイスに住んでるのに)今日だけ特別に、フランスにいるお友達の家に子どもを送っていく」などと言う人が続出したそう。ラジオのインタビュアーが「みんな、どんな罰金があるのかびくびくしてるのが手に取るように分かりました。やってはいけないと認識しているにもかかわらず、やっているんですよね」と言っていたのが印象的でした。
*2:
話が逸れますが、大阪の超激安スーパーで、明らかに日本人が監修していないであろう日本語表記のパッケージは見たことがあっても、フツーのスーパーではまだまだ一般的ではないです。