フランスで考えるブログ

フランス在住 大阪出身の金融業界フルタイム勤務のわたしの日常生活と頭の中

フランスのいいところ 〜セントラルヒーティング〜

言葉が難しい、働かない、のんびりしている、、、などなど、否定的なレッテルをはられがちなフランスですが、長く住んでみてわかる「いいところ」がたくさんあるんです!

 

個人的な視点でみた、「フランスのいいところ」
今日は、これからの時期にたいへん重宝する「セントラルヒーティング」について考えてみました。

 

 

セントラルヒーティングシステムとは

「建物の中全体を暖めるシステム」です。

基本、家の中全部、玄関もお風呂場も台所も寝室もトイレもみーんな、同じ温度に保つという暖房システム。種類は、器具の中にオイルが入っているタイプと、水を循環させているタイプの2種類があります。

わたしの知る限り、イギリス、ドイツ、オランダ、イタリア、スペイン、スウェーデン、そして大陸を渡りアメリカのカリフォルニアでも同じ暖房設備を見たことがあるので、欧米諸国では一般的な設備だと思われます。

 

 

こんな感じで、窓の下に設置されているのが典型的。窓から入ってくる冷気を温めることが目的かな?

f:id:infofromparis:20191206234343j:plain

 

場所をとらないこういうタイプもあり。お風呂場に設置して乾燥機能も兼ねて。

f:id:infofromparis:20191206234025j:plain

 

日本は「部屋ごとに暖める方式」

日本の暖房設備は、「部屋ごと」に暖める方式なので、真冬、朝起きてすぐにすることは、暖房器具を点ける!という経験があります。トイレに行く時も寒いので、廊下は小走りになったり(だから便座を温める文化が発展したのかも!)。

最近は床暖房が浸透し、改良されてる世帯が多いかもしれませんが、とにかく私の実家はそうなのです。

 

そんな日本の生活様式から比べると、フランスのこのシステムはとてもよい!

気温が下がり始める11月にはセントラルヒーティングが稼働し始め、建物全体が暖められ、そのまま春まで、家の中は快適〜なのです。

極端な話、家の中では真冬でも半袖ということも。

子どものお風呂上がりも、あわてて暖房のきいている部屋まで連れて行かずとも大丈夫。

 

 

気になるお値段は? 

今住んでいる建物はガスではなく電気、オール電化で、セントラルヒーティングシステムも電気。しかしそれほど光熱費も高くなく、4人家族で月に平均70ユーロほど。

どうしても寒い日は、ヒーターのある部屋のドアを閉めたり、玄関ドアの下から入り込む冷気を遮断する工夫をするなどして、温度が下がらないように管理することもありますが、基本、部屋と部屋の仕切りドアは開けっぱなし。ヒーター自体はほんのり暖かい程度なので、子どもが触っても安心、と、いいことづくめなのです。

 

 

 体にやさしい暖房設備!

そして個人的に嬉しいことは、「風が出ない暖房器具」のお陰で、乾燥から喉が痛くなったり、お肌が慢性的に乾燥する回数がぐっと減りました。体に負担がかからず、家全体が暖かく保たれています。

日本でもオイルヒーターが一般的になってきているようなので、実家に大絶賛で勧めています。

 

 

フランスではなぜこういうシステムになったのか、考えてみると

  • 石造りの建物なので、スキマ風が入りにくく、一旦暖かくしてしまうと、暖気が逃げにくい(そのかわり一旦冷たくなると、暖めるのにすごく時間がかかる)→日本に比べると長い冬を越すのに、経済的なシステム
  • 美的感覚、景観を重要視するため、室外機を置く場所がない 
  • 所有権の考え方が、日本とフランスで大きく異なり、昔からの建築設計に手を加えるための手続きが煩雑(日本では「所有権の絶対」、フランスでは所有しているアパルトマンであっても、同じ建物に住む人や管理組合から合意を得ないと大がかりな工事ができない)

 ということろでしょうか。

 

美的感覚の観点から見ると、こんなタイプもあります。

本棚の間に完全埋め込みしているタイプ

f:id:infofromparis:20191206234204j:plain

 

目立たないように、壁紙と同じ色で統一しているタイプ

f:id:infofromparis:20191206234810j:plain


 

この暖房システムの落とし穴

さて、大絶賛のセントラルヒーティングですが、それでもデメリットはやはりあり。

それは、「自分でスイッチオンオフ、温度設定できないこと」。

うちの場合、集合住宅全体で設定温度が決まっているので、暑いくらいに設定されている世帯もあれば、ずーっと肌寒いくらいにしか設定されていない世帯があったり。

お友達の家に行くと「なんか寒くない?」と感じたり。また逆に、お友達を招くと「なんかこの家暑いね」と言われることも。

管理人さんに言うと設定してくれるのかもしれませんが、共有設定なので、細かくは変えられないようで。

 

そして2つ目の落とし穴は、「夏に使い道がないこと」。

昨日ラジオで、2019年は世界的にみて、1850年以降3本の指に入るくらいの猛暑だった、と言っていました。 にも関わらず、フランスの冷房設備の一般家庭普及率はおよそ3パーセントとか。今年のパリは、昼間はカーテンで断熱、日が沈んでから窓全開+扇風機で乗り切った家庭が大半だと思います。

日本と違って、冷暖房を一台でこなす、というエアコン機能ではないので、夏はただ単に「置き物」と化します。使えない。

夏のヒーターは、ひたすらじっと、冬に備えてメンテナンスの時期です。(実際にうちも、毎年6月末に点検にきてもらっています) 

 

 

日本と同じ冷暖房設備の場所も

フランスでも例外的に日本と同じ暖房システムのところもあります。

それは、商業施設と、オフィスビル

私の職場も、日本と同じく風が出るタイプの冷暖房兼用機が設置されています。そのせいか、自宅では感じなかった、コンタクトレンズの乾き、喉の痛み、お肌の乾燥などの経験が多々。

商業施設やオフィスビルは石造りでも、夏に冷やす必要があるからそうなっているのでは…と推測します。

 

 

 

これから本格的に寒くなる時期…

今年もセントラルヒーティングのシステムの恩恵に目一杯あずかりたいと思います。

 

 

では、今日はここまで。

この記事が、冬の期間に渡仏される方の参考になれば、また同じことを感じていらっしゃる方のお目にとまれば嬉しいです。