フランスで考えるブログ

フランス在住 大阪出身の金融業界フルタイム勤務のわたしの日常生活と頭の中

ハイコンテクスト文化すぎる国 日本

日本語の本を読んでいて、フランスでの自分の経験にシンクロして感動したので、

今日はこちらをシェア。 


小霜和也 著

「ここらで広告コピーの本当の話をします。 宣伝会議

ここらで広告コピーの本当の話をします。

ここらで広告コピーの本当の話をします。

  • 作者:小霜 和也
  • 発売日: 2014/10/29
  • メディア: 単行本
 

 


日本に里帰りするごとに実感する、窮屈な感じ。

自分が生まれ育った土地なのに、なぜ窮屈に感じるのか。母国語ではない国フランスの方がゆったりと過ごせるのはなぜ?


ぼんやりとしていたイメージが、こちらの本に書かれている「ハイコンテクスト文化」という概念を知り、一気に視野がくっきりしました。

 

ハイコンテクスト文化とは?


「ハイコンテクスト文化」=

「コミュニケーション・意思疎通をはかるときに前提となる言語、体験、価値観、考え方などが非常に近いという意味」


--

 

「日本は海外に比べてハイテクスト文化である
そのベースには、日本は民族性、経済力、文化度などが近い人が集まっている」

ヨーロッパは「旧植民地からの移民がとても多く、日本に比べるとハイコンテクストの反対、ローコンテクストな社会と言えるでしょう」


ローコンテクストな社会では「毎日を楽しもう、愛って素晴らしい、子どもを大事にしよう、など人類全部に共通するような普遍的なメッセージをベースにしながら、
「とにかくこれが最高」「とにかくこれ買っとけば間違いない」という、大ざっぱな突き抜け感がないと、ごく一部の人にしかメッセージが伝わらず広告として機能しにくいのです。」

 

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※「 」内は書籍より引用


これこれ!!そうそう!!
これ、本当にその通りで、思わず、本を読みながらうなずいてしまいました。

 

f:id:infofromparis:20170721125132j:plain

 

パリやロンドンのような欧州の首都ではとくに、外見はもちろんのこと、

自分と異なる国籍やバックグラウンドを持っている人がたくさんいるので、

「ハイコンテクスト」なモノを作っても、文字通り

「ごく一部の人にしか伝わらない、使ってもらえない」のです。

 


その結果、どんな人にも伝わるメッセージはやはり

「愛」や「友情」

「子ども」

「自然」

など、いつの時代も不変のネタになるという!

 

 
よって、モノだけでなく、生活すること自体が、ハイコンテクストの反対

「ローコンテクスト」になっています。

なんとなーく、日本は騒がしいなあ、という印象はもっていましたが、

こうやって文字で読むと本当に分かる!!

分かりすぎる!!



日本では、同じ種類の人が多い、ハイコンテクスト文化なので、

例えば、宣伝広告もきっちりとターゲット層を細かくしたものが多かったり、

日常生活においては、切符を買ったり、ちょっと買い物することすら複雑だったりします。

(ポイントカードいりますか?、袋いりますか?、お箸いりますか?、温めますか?)

 

 

先日のエントリの「過剰包装」も、この一環かという疑惑。 

www.infofromparis.com

 

 

フランスに住んで里帰りすると「何もそこまでしなくても」と思うことが多々あります。

便利なんだけれども、本当にそれ要る??っていう。

モノだと特に、生活洋品や100均商品で多い気が。バナナケースとか。

デパートの試着室で着用をお願いされるフェイスカバーとか。

 

あと、サービスも。

配達時間指定なんて、フランスでは機能していないに等しく、1週間遅れなんてことも。

でも日本はきっちり!

このへん、さすが!!なのですが、その一方で、ちょっとでも時間が遅れるとヤイヤイ言うお客さんも出てくるし、時間厳守するばかりに、他の重要なことがあとまわしになってしまったりしないのかしら。

 

 

確かに、あるとすごく良いし、便利だし、すばらしい。

けれど、本当は無くても大丈夫。

いろんな細かいサービスがあることによって、逆にがんじがらめになってしまって、本末転倒ではないのかしら。

周りへ迷惑をかけることを恐れるあまり、自分がやりたいことをつきとおせなかったり…と思うのは、私だけでしょうか。

 

 

 

また、日本製品についても、ハイコンテクストすぎ。

モノが多いだけではなく、商品そのものを「作りこみすぎ」

先日も、会社の同僚フランス人と話していて、

Made in Japan は高品質と謳われていたのは一昔前、

この10年ほどで、日本製の電化製品はすっかり追いやられて、

・ 複雑すぎて使いづらい
・ 値段が高い割に長持ちしない
・ 毎年新しいモデルを出すものの、フランスでは電化製品の買い替えが5年~10年単位のため、それほど売れていない

というレッテルを張られているとか。 

こういうところにも、「ハイコンテクスト文化」が影響していると考えています。


フランスは本当に「ローコンテクスト」な社会です。 

フランス語を読み書きしない人にも分かりやすい広告。

多文化社会のため、いろんな宗教、文化を横断的にみて、共通項の部分で仕組みを作ります。

携帯電話キャリアの変更や銀行の乗り換えなども、一見複雑そうに見えますが、

実際にやってみると、あれ、意外と簡単〜 という経験をしました。

(残念ながらミスも多いのですが)



この本を読んで、

空港でよく目にするこういうHSBCの巨大広告 ↓ を思い出しました。

 
空港といういろんな人種が行き交う場所では、まさしく「ローコンテクスト」な広告が適しているのね、と納得です。


www.mlcbullring.com

 


あと、マクドナルドの広告もそんな感じ。

 

www.creativereview.co.uk






今日はここまで。

「ハイコンテクスト文化」 と 「ローコンテクスト文化」 

どうやら、広告業界では基本的な知識のようで、自分の無知をしるいい経験でした。

このエントリで初めて知った方がいれば、うれしく思います。